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ED治療

当記事の監修医師

倉田 照久

医療法人 御照会 理事長

倉田 照久

Profile

池袋サンシャイン通り皮膚科 院長

心因性EDの原因・治療法について解説。器質性との混合性もある?

心因性EDの原因・治療法について解説。器質性との混合性もある?

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当記事の主な参照元:
ED診療ガイドライン第3版(日本性機能学会・日本泌尿器科学会)
※「男性性機能障害診療ガイドライン2025年版」は、2025年9月19日に発行されています。

パートナーとの性行為に緊張する場合や、仕事のストレスが増えて勃起しにくくなった場合など、心理的な要因が背景にあるときは心因性EDの可能性があります。

心因性EDは、治療薬や心理療法による改善が期待できるとされています。

本記事では、EDのリスクを高める危険因子や心因性EDの治療法、勃起を促進する治療薬について解説します。

EDとは?心因性・器質性・混合性の違い

EDとは?心因性・器質性・混合性の違い

ED(勃起障害/勃起不全)は、満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないか、または維持できない状態が持続または再発することを指します。

EDは「心因性」「器質性」「混合性」の3つのタイプ(病因)に分類されます。

  • 心因性ED…ストレス、うつ等の精神的な原因によるED
  • 器質性ED…血管や神経、ホルモン分泌などの障害によるED
  • 混合性ED…心因性と器質性が混じったED

また、多くの場合でこれらの病因が混合しているといわれています。そのため器質性が主因のもの、心因性が主因のものというように分類することが推奨されています。

EDの有病率と発生率

「ED診療ガイドライン第3版」によれば、EDの有病率に関してさまざまな研究が行われていますが、年齢が上がるにつれて有病率も上昇する点は共通しています。

年代別のおおよその割合は以下のように推定されています。

  • 40歳未満:1~10%
  • 40歳代:2~15%
  • 50歳代:40歳代と60歳代の中間程度(最もばらつきが大きい)
  • 60歳代:20~40%
  • 70歳以上:50~100%

日本人もしくはアジア人のEDの発生率に関するデータは存在しません。しかし、簡単な問診でEDを評価した複数の研究によれば、1,000人あたり、1年間に約4~66人が発症するとされています。

EDのリスクを高めるものは?ストレスが原因になることも

EDのリスクを高めるものは?ストレスが原因になることも

EDのリスクを高める危険因子は数多くあり、その中には運動不足や喫煙といった生活習慣の見直しで変えられるものもあります。このほか、持病や薬の影響が危険因子になることもあります。

ここでは、心因性を含めたEDの主な危険因子について解説します。

加齢

「ED診療ガイドライン第3版」は、加齢を最も重要なEDの危険因子としています。

また、同ガイドラインで紹介されている調査では、アメリカ人と比べて日本人の方が加齢による性機能の低下がより著しいという結果も報告されています。

289名の日本人と2,115名のアメリカ人を対象とした調査では、加齢にともないED罹患率が上昇する傾向は日米共通していたものの、日本人の方がその傾向が顕著であり、70歳代の日本人では71%が中等度または完全EDに該当しました。

心理的および精神疾患的要素

「心理的および精神疾患的要素」として挙げられているものは次の通りです。

  • 情緒的な問題
  • ストレス
  • うつ症状
  • PTSD(心的外傷後ストレス障害)

このほか、対人関係の悩みや過去や現在のパートナーとの関係がきっかけでEDになる場合もあります。

これらは、心因性EDにも関与すると考えられるでしょう。

肥満と運動不足

「ED診療ガイドライン第3版」で紹介されている海外の研究によれば、BMIが増加するにつれてEDリスクが上昇すると報告されています。また、運動強度の増加にともないEDのリスクは低下していました。

日本人のデータでは、肥満や運動との関連性は明確になっていません。しかし、肥満の解消や運動不足の解消はEDの改善・予防につながる可能性が高いと考えられており、非薬物療法として推奨されています。

喫煙

「ED診療ガイドライン第3版」によると、喫煙とEDの関係を調べた多くの調査で非喫煙者と比べて喫煙者はEDになりやすいという結果が報告されています。

同様に、タバコを吸う量や期間が多いほどEDのリスクも高まる可能性がある点も指摘されています。

喫煙が勃起機能に与える悪影響として、血管内皮障害や陰茎への血流障害、交感神経刺激などが考えられています。

20代・30代を含む若い世代でも、喫煙量が多いほどEDリスクが高まる可能性があるでしょう。

病気や外傷など

EDに関連する病気として、次のものが挙げられます。

  • 糖尿病
  • 睡眠時無呼吸症候群
  • 心血管疾患および高血圧
  • 慢性腎臓病
  • 神経疾患(脳卒中、多発性硬化症など)

また、外傷や手術によってEDになる場合もあります。身近な外傷として、自転車のサドルによる会陰部の圧迫がEDの原因になりうるという指摘もあります。

このように、EDの背景に病気や外傷が隠れている可能性もあります。そのため厚生労働省は、EDが疑われる場合、まずは対面での診察を受けるよう推奨しています。

参照:「「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に関するQ&A」の改訂について|厚生労働省

薬剤

EDとの関連が指摘されている薬剤には、次のようなものがあります。

降圧薬利尿薬、β遮断薬、Ca拮抗薬は勃起機能への悪影響を示唆する報告が多い。しかし高血圧自体も危険因子なので、薬剤性のEDなのか、高血圧によるEDなのか、あるいはその両者なのかは明確になっていない。
抗うつ薬パロキセチン、セルトラリン、ベンラファキシンによってEDを発症した例が報告されている。
前立腺肥大症の治療薬α遮断薬は、射精障害が多いが勃起機能への影響は少ない。一方、5α還元酵素阻害薬は勃起障害を起こしやすく、中止後も症状が続く場合がある。
髄腔内バクロフェン(ITB)療法高い頻度でEDを起こすことが分かっている。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)以前はEDを起こす可能性があるとされていたが、最近ではEDとの関連は薄いと考えられている。

テストステロン低下

男性ホルモンのひとつであるテストステロンは、勃起に関係する神経、血管、海綿体組織の正常な機能を保つのに必須です。

「ED診療ガイドライン第3版」ではテストステロン低下がEDの危険因子に挙げられています。

しかし、現在のところテストステロンとEDの関連については明確になっていません。

心因性EDかもしれないと思ったら何科を受診する?

心因性EDかもしれないと思ったら何科を受診する?

「自分は心因性のEDかもしれない」と思ったら、まずは泌尿器科やED専門外来を受診して、正確な原因を確認しましょう。

EDの危険因子は数多くあり「実は器質性のEDだった」あるいは「混合性のEDだった」というケースも考えられるためです。

医療機関の問診では、次のことを確認します。

  • 糖尿病
  • 過去と現在の性的関係
  • 現在の感情
  • EDの発症と経過
  • 治療歴
  • 運動習慣
  • 薬物・嗜好品…など

このほか、性的刺激時の勃起や早朝勃起時の陰茎の硬さと持続時間を確認する場合もあります。

心因性EDの治療法

心因性EDの治療法

心因性・器質性を問わず、EDの治療では次の3つが実施されます。

  • 糖尿病
  • 過去薬物療法(薬を使った治療)
  • 生活習慣の見直しによる危険因子の排除
  • 患者とパートナーの教育とカウンセリング

また心因性EDに対しては、PDE5阻害薬を用いた薬物療法と心理療法の併用が強く推奨されています。

心因性EDの心理療法にはさまざまな種類があり、患者に合わせた方法が選ばれます。

  • 精神分析療法
  • 支持的精神療法
  • 感覚集中訓練
  • 自立訓練法
  • 脱感作療法
  • マリッジ・カウンセリング
  • 性教育
  • コミュニケーションと性的な技術訓練
  • マスターベーション訓練…など

心因性EDに用いられる治療薬(PDE5阻害薬)

心因性EDに用いられる治療薬(PDE5阻害薬)

心因性をはじめとしたEDの薬物療法では、PDE5阻害薬が用いられます。国内では以下の3剤が使用可能です。

  • シルデナフィル
  • バルデナフィル
  • タダラフィル

これらのPDE5阻害薬は国内外で十分な有効性・安全性のデータが報告されており、第一選択の治療法とされています。

PDE5阻害薬が勃起を促進するメカニズム

PDE5(ホスホジエステラーゼ5)は、男性器内部の陰茎海綿体に多く存在する酵素です。PDE5には、勃起を促す「cGMP」という物質を分解する働きがあります。

そもそも勃起は、視覚的・聴覚的な性的刺激などによって大脳の性中枢が興奮することで生じます。

大脳が興奮すると、cGMPが増加して平滑筋を弛緩させ、血管拡張を起こします。その結果、男性器の血流量が増大して勃起を発現させるのです。

PDE5阻害薬は、PDE5の作用を阻害することでcGMP濃度を高め、勃起の発現や維持を改善します。

参照
cGMP | 公益社団法人日本薬学会
PDE | 公益社団法人日本薬学会

PDE5阻害薬の用法用量と主な副作用

心因性をはじめとしたEDの治療に用いられるPDE5阻害薬は、いずれも性行為の約1時間前に服用します。

3剤それぞれの用法用量は以下の通りです。また、硝酸薬やリオシグアトとの併用は禁忌とされています。

シルデナフィル・通常、成人には1日1回シルデナフィルとして25mg~50mgを性行為の約1時間前に経口投与する。・高齢者(65歳以上)、肝障害のある患者及び重度の腎障害(Ccr<30mL/min)のある患者については、本剤の血漿中濃度が増加することが認められているので、25mgを開始用量とすること。・1日の投与は1回とし、投与間隔は24時間以上とすること。
バルデナフィル・通常、成人には1日1回バルデナフィルとして10mgを性行為の約1時間前に経口投与する。10mgの投与で十分な効果が得られず、忍容性が良好と判断された器質性又は混合型勃起不全患者に対しては、20mgに増量することができる。・高齢者(65歳以上)、中等度の肝障害のある患者については、本剤の血漿中濃度が上昇することが認められているので、5mgを開始用量とし、最高用量は10mgとする。・1日の投与は1回とし、投与間隔は24時間以上とすること。
タダラフィル・通常、成⼈には1⽇1回タダラフィルとして10mgを性⾏為の約1時間前に経⼝投与する。10mgの投与で⼗分な効果が得られず、忍容性が良好と判断された器質性⼜は混合型勃起不全患者に対しては、20mgに増量することができる。・軽度⼜は中等度の肝障害のある患者では10mg を超えないこと。なお、いずれの場合も1⽇の投与は1回とし、投与間隔は24時間以上とすること。・中等度⼜は重度の腎障害のある患者では、5mgから開始し、投与間隔は24時間以上とすること。なお、中等度の腎障害のある患者では最⾼⽤量は10mgを超えないこととし、10mgを投与する場合には投与間隔を48時間以上とすること。重度の腎障害のある患者では5mgを超えないこと。

PDE5阻害薬に共通する主な副作用は、頭痛、ほてり、消化不良、めまい、眼症状、背部痛、鼻閉です。また、突発性難聴やNAION(原因不明の視神経症)などの重い副作用があらわれる場合もあります。

このほか、重度の心血管疾患がある方、直近に心筋梗塞・脳卒中の既往がある方などは服用できない場合があります。持病がある方は、必ず診察の際に医師へお伝えください。

医師の説明に従って正しく服用し、気になる症状があらわれた場合は必ず医療機関を受診しましょう。

参照
シルデナフィル錠25mgVI「DK」/シルデナフィル錠50mgVI「DK」添付文書
バルデナフィル錠10mg「サワイ」/バルデナフィル錠20mg「サワイ」添付文書
タダラフィル錠10mgCI「FCI」/タダラフィル錠20mgCI「FCI」添付文書

まとめ:心因性EDは一人で悩まず医師へ相談を

まとめ:心因性EDは一人で悩まず医師へ相談を

心因性EDは、ストレスや対人関係の悩み、過去や現在のパートナーとの関係などがきっかけとなり発症する可能性があります。

しかし、EDにはさまざまな危険因子があり、器質性と心因性が混合している場合もあります。「心因性EDかもしれない」と思ったら、おひとりで悩まず、まずは医師へ相談しましょう。

正しい原因を確認して、医師とともに治療を進めることが大切です。