コラムカテゴリ
性感染症
当記事の監修医師
医療法人 御照会 理事長
倉田照久
渋谷文化村通り皮膚科 院長
女性の性器ヘルペスの症状、原因、感染経路、治療方法について
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女性に多い性器ヘルペスは、痛みやかゆみ、水ぶくれなどの症状が特徴で、初感染や再発で経過が異なります。
本記事では、原因となるウイルスの種類、主な感染経路、治療方法や再発予防までをわかりやすく解説します。
当記事の主な参照元:性感染症|厚生労働省
性器ヘルペス|日本性感染症学会
この記事の目次
女性の性器ヘルペスとは

性器ヘルペスは正式名称を「性器ヘルペスウイルス感染症」といい、「単純ヘルペスウイルス」が性器やその付近に付着して引き起こされる性感染症です。
性器ヘルペスは、性器やその周辺に水ぶくれができてかゆみや痛みなどの症状を引き起こしますが、無症状で気付かないことも多いです。
一度発症すると外に排出されず、生涯にわたって神経の中に潜むため、風邪やストレスなどの免疫力の低下で再発する可能性があります。
参考:性器ヘルペスウイルス感染症|国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト
HSV-1とHSV-2の違い
性器ヘルペスの原因となる「単純ヘルペスウイルス」には1型(HSV-1)と2型(HSV-2)があります。
1型は主に口の周りに感染して口唇ヘルペスの原因となるのに対し、2型は性交渉時に性器の表面や感染した皮膚や体液との接触が原因です。
これまで目や口などの上半身に起こるものを1型、性器などの下半身に起こるものを2型と区別していましたが、オーラルセックスの一般化で1型が性器に感染し、2型が口周辺に感染することも珍しくなくなってきたため、2つの区別はあいまいになってきています。
女性に多く、症状に気づきにくいのはなぜ?
性器ヘルペスは男性よりも女性に多い病気です。厚生労働省によると、令和5年の性器ヘルペスの男女別の総数は、男性で25〜29歳で448人、30〜34歳で405人でした。一方、女性は25〜29歳で900人、30〜34歳で702人となっています※。
女性は男性に比べて性器の粘膜が広範囲に存在し、ウイルスが侵入しやすい構造であるため、男性から女性への感染効率が高いと考えられています。
性器ヘルペスは無症状の場合もあります。そのため、感染しても症状に気付きにくいとされています。また、女性は外陰部だけでなく膣内や子宮頸部など自分では確認できない部位に病変が出ることもあるためヘルペスだと認識しにくいことも理由のひとつです。
※出典:年齢(5歳階級)別にみた性感染症(STD) 報告数の年次推移 性器ヘルペスウイルス感染症|厚生労働省
女性の性器ヘルペスの症状

性器ヘルペスは、感染しても無症状のまま経過するケースが少なくありません。そのため、自覚のないまま感染に気付かず、検査や別の症状をきっかけに判明することもあります。
一方で、症状が出る場合には、皮膚や粘膜の症状、全身症状などが現れるのが特徴です。ここからは、女性にみられる性器ヘルペスの具体的な症状を詳しく解説します。
初期症状・前兆
性器ヘルペスでは、水疱などの目に見える症状が出る前に、前兆としていくつか症状が現れることがあります。
外陰部や腟の周囲に、チクチク・ピリピリとした違和感、かゆみ、軽い痛みを感じるのが特徴です。この前兆の段階ですでにウイルスは活動し始めています。
また、排尿時にしみる感覚や、なんとなく不快感が続く程度で始まることもあり、膀胱炎やかぶれと誤解されやすいため注意が必要です。性器ヘルペスの再発を繰り返している場合は、この前兆でヘルペスに気付くケースも少なくありません。
皮膚・粘膜の症状
女性の性器ヘルペスでは、前兆のあとに外陰部や膣入口、肛門周辺などに小さな水ぶくれが複数現れます。水疱は数日で破れて次第にただれや潰瘍※ができて、赤く腫れてヒリヒリとした強い痛みに変わるのが特徴です。
※潰瘍:皮膚や粘膜が炎症を起こして穴が開いたような状態になること
下着に触れるだけで痛むため歩行がつらいと感じることや、排尿時の痛みも伴うため、日常生活に支障をきたすことがあります。症状は左右どちらかに偏ることもあれば、広範囲に及ぶこともあり、初めて感染した時ほど症状が強く出やすい傾向があります。
全身症状
ヘルペスウイルスは、初感染時に風邪やインフルエンザのような症状が出る場合があります。38度以上の発熱、倦怠感、頭痛、鼠径部のリンパ節の腫れ、痛みなどが代表的です。
風邪やインフルエンザと勘違いしてしまうこともあるため、その後の皮膚症状の経過を見ることが大切です。なお、再発時には、これらの全身症状は軽いか、ほとんど見られない場合が多いでしょう。
性器ヘルペスの再発の原因は?

性器ヘルペスは、症状が治まったあともウイルスが体内の神経に潜伏しているため、症状が落ち着いたからと言ってウイルスが完全に排除されたというわけではありません。
そのため、疲労や強いストレス、風邪などによる体調不良をきっかけに、潜伏していたウイルスが再び活性化し、再発することがあります。
また、性行為や生理、睡眠不足なども免疫力を一時的に低下させる要因となり、再発の引き金になることがあります。さらに、下着や衣類による患部への摩擦・刺激が加わることで、局所的に症状が出やすくなるケースもあります。
再発時の症状
性器ヘルペスが再発する前には、初感染時と同じく、性器周辺にかゆみやチクチクする痛み、違和感といった前兆が現れることが多くあります。これはウイルスが再び活性化し始めているサインです。
再発時の症状は初感染時に比べて軽いことがほとんどで、水ぶくれの数が少なく、痛みも強く出にくい傾向があります。
多くの場合、1週間程度で症状は軽快しますが、疲労やストレス、体調不良などが重なると再び症状が現れる可能性があります。症状がひどくなる前に治療を開始することが大切です。
女性の性器ヘルペスの感染経路・潜伏期間

性器ヘルペスは、どのような経路で感染し、どれくらいの期間を経て症状が現れるのかが分かりにくい性感染症です。
特に女性は、感染してもすぐに症状が出ないことや、気づきにくい部位に病変が現れることがあり、「いつ・どこで感染したのか分からない」と不安を感じるケースも少なくありません。
ここでは、女性の性器ヘルペスの主な感染経路と潜伏期間についてわかりやすく解説します。
感染経路
性器ヘルペスは、主に性交渉の際に性器や肛門周囲の皮膚・粘膜、ただれに接触することで感染します。ウイルスは水ぶくれだけでなく、一見正常に見える性器や肛門部の皮膚からも排出されるため、症状がない場合でも感染する可能性があります。
性器ヘルペスは主に性行為によって感染します。症状が出ている時期はウイルス量が多いため、性行為は控えるべきです。
また、ウイルスを含む体液が付着した物品を介して感染するケースもあります。さらに、母親が性器ヘルペスに感染している場合、分娩時に新生児へ感染するリスクがある点にも注意が必要です。
潜伏期間と完治までの期間
性器ヘルペスの潜伏期間は、通常2〜10日程度とされています。初感染の場合、症状は2〜3週間ほどで軽快しますが、抗ウイルス薬を使用することで1〜2週間程度に短縮できる場合があります。
参考:性器ヘルペスウイルス感染症|国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト
性器ヘルペスの治療方法

性器ヘルペスの治療は、原因となるウイルスの増殖を抑える抗ヘルペス薬の使用が基本です。症状の程度や初感染・再発の違いによって飲み薬や塗り薬などを使い分けます。ここからは性器ヘルペスの治療方法を紹介します。
飲み薬
性器ヘルペスの治療は、抗ウイルス薬の内服が基本です。
内服薬は体の内側からウイルスの増殖を抑えるため、初感染時・再発時のどちらにも有効です。特に、ヒリヒリ感や違和感など症状が出始めた段階で治療を開始すると、症状の悪化や長期化を防ぐことができます。
性器に異変を感じたら、早めに医療機関を受診し、適切な飲み薬を処方してもらうことが大切です。
塗り薬
性器ヘルペスの治療では、症状に応じて塗り薬(外用薬)が使われることもあります。塗り薬は、すでに起きている炎症や痛み、不快感を和らげるのが目的です。
ただし、塗り薬は皮膚や粘膜表面のウイルスに作用するため、症状の緩和が主な目的です。再発や症状の悪化を防ぐためには、抗ウイルス薬の飲み薬を併用することが重要です。
再発抑制療法
性器ヘルペスを年に数回以上くり返す場合には、再発抑制療法が選択されることがあります。これは、症状が出ていない時期にも抗ウイルス薬を内服し、再発そのものを抑える治療法です。
女性では、ストレスや疲労、月経前後をきっかけに再発を繰り返すケースで検討されることが多く、通常より少ない量の内服薬を長期間服用します。再発の頻度や生活への影響に応じて、医師と相談しながら治療方針を決めることが大切です。
性器ヘルペスの予防法と日常生活の注意点

性器ヘルペスは、日常生活の工夫によって感染や再発のリスクを下げることが可能です。特に女性は体調やホルモンバランスの影響を受けやすいため、正しい予防知識と生活習慣の見直しを行いましょう。
最後に性器ヘルペスの予防法と日常生活の注意点を解説します。
症状がある間の性交渉は避ける
性器ヘルペスの症状が出ている間に性交渉を行うと、症状が悪化するだけでなくパートナーへ感染させる可能性が高まります。
水ぶくれや痛みがある時期はウイルス量が多く、感染リスクが特に高い状態です。症状が完全に落ち着くまでは性交渉を控え、治療と安静を優先することが重要です。
性行為には避妊具を使用する
性器ヘルペスは主に性交渉によって感染するため、避妊具の使用は感染リスクを下げる有効な方法です。
ただし、パートナーに症状がなくてもウイルスを保有している場合があり、その場合は女性(男性)側に感染する可能性があります。完全に防げるわけではありませんが、正しく使用することで予防効果が期待できます。
十分な睡眠とバランスの良い食事を心がける
性器ヘルペスは、疲労や免疫力の低下をきっかけに再発しやすいという特徴があります。
睡眠不足や偏った食生活が続くと免疫機能が低下し、再発のリスクが高まります。日頃から十分な睡眠を確保し、栄養バランスの取れた食事を意識して抵抗力を高めることが再発予防につながります。
ストレス管理をする
強いストレスは免疫力を低下させ、性器ヘルペスの再発を引き起こす要因のひとつです。
疲労やストレスが蓄積していると感じたときは、無理をせず十分な睡眠を取ることが大切です。自分に合ったリラックス方法を見つけ、日常的にストレスケアを行いましょう。
女性の性器ヘルペスに関するよくある質問

ここからは女性の性器ヘルペスに関するよくある質問にお答えいたします。
はい、移ります。症状がなくても体内にウイルスが存在していれば、避妊具を使用しない性行為で男性に感染する可能性があります。そのため、症状の有無に関わらず避妊具を着用しましょう。ただし、避妊具を使用したからと言って感染を完全に防げるわけではない点に注意が必要です。
性交渉がなくても、オーラルセックスによって口から性器、または性器から口へ感染することがあります。患部と直接接触する行為でも感染リスクはゼロではありません。
入浴やタオルの共有などの日常生活で感染する可能性は低いですが、発症中はタオルの共有は避けることが望ましいです。
初感染の場合、症状が強く出やすく、自然経過では2〜3週間ほどかかることがあります。一方、再発時は症状が比較的軽く、1週間前後で改善するケースが多いです。抗ウイルス薬を早期に内服することで、症状の期間短縮や痛みの軽減が期待できます。
あります。特に性器ヘルペス2型(HSV-2)は、感染していても明らかな症状が出ないまま経過することがあります。この場合、自覚がないため感染に気づかず、パートナーにうつしてしまうこともあるため注意が必要です。
まとめ|性器ヘルペスは女性こそ早めの受診が大切

性器ヘルペスは女性の場合、症状が軽かったり外陰部の異変に気づきにくかったりするため、感染に気づかないまま経過することがあります。しかし、放置すると再発をくり返したり、パートナーへの感染リスクが高まる可能性があります。
違和感やかゆみ、痛みなど少しでも気になる症状があれば、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。