コラムカテゴリ
美容治療・内服薬
当記事の監修医師
医療法人 御照会 理事長
倉田照久
渋谷文化村通り皮膚科 院長
トラネキサム酸の美容効果とは?肌への作用と摂取方法、副作用を解説
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トラネキサム酸は、医療分野で止血や炎症を抑える目的で使用される成分です。近年、その作用機序から、シミや肝斑への効果が期待され、美容目的で用いられることもあります。
本記事では、肌への作用や効果的な摂取方法、副作用や注意点についてわかりやすく解説します。
当記事の主な参照元:トラネキサム酸添付文書
この記事の目次
トラネキサム酸とは?

トラネキサム酸は、アミノ酸の一種から作られた成分です。
体内で血栓を溶かす働きを持つ、タンパク質分解酵素「プラスミン」の作用を抑えることで効果を発揮します。プラスミンの過剰な働きが抑制されると、出血が止まりやすくなるほか、炎症やアレルギー反応の原因となる物質の産生も抑制されます。
そのため医療分野では、止血目的だけでなく、喉の痛みや口内炎などで起きる炎症の緩和や、アレルギー症状の抑制を目的として幅広く使用されています。近年では、これらの作用を応用し、肝斑治療など美容目的で処方されることも増えています。
トラネキサム酸の美容目的での使用で期待される効果

近年、トラネキサム酸はシミや肝斑の原因とされるメラニン生成に関与する働きを抑える可能性が注目され、皮膚科や美容皮膚科を中心に処方されるケースが増えています。
もともとは止血や炎症を抑える目的で使用されてきましたが、その作用機序が肝斑の発症メカニズムと関連することから、医師の判断のもとで美容目的に用いられることがある成分です。
ここからはトラネキサム酸の期待される美容効果を3つ紹介します。
肝斑・シミの改善
肝斑とは、主に頬や額に左右対称に現れる薄茶色のシミです。女性ホルモンや紫外線、摩擦などが関与するとされています。
トラネキサム酸は、メラニン生成を促進するプラスミンやプロスタグランジンの働きを抑制することで、肝斑やシミの改善に効果が期待できると考えられています。トラネキサム酸の内服が肝斑の色調改善に有効であるという報告もありますが、医薬品としての承認された効能効果ではありません。医師の判断のもと、美容目的で使用されることがあります。
最近では内服だけでなくスキンケア製品にも配合されるなど、私たちの身近なものにも配合されているのが特徴です。
参考文献:Feng X et al., J Clin Pharm Ther. 2021;46(5):1263–1273
美白効果
シミやくすみは、紫外線や炎症刺激によってメラニンが過剰に生成・蓄積することで発生します。
トラネキサム酸は、メラニン生成の過程に関与する因子の働きを抑えることで、シミの進行やくすみの悪化を防ぐ効果が期待される成分です。
トラネキサム酸を継続的に使用することで、メラニンが過剰に作られるのを抑え、日焼けによる肌のくすみ、しみ、そばかすの発生を予防する効果が期待できます。
抗炎症作用
トラネキサム酸は、線溶系に関与するプラスミンの活性を抑制することで、炎症反応の連鎖を間接的に抑える作用をもっています。プラスミンは、炎症時にアラキドン酸代謝やプロスタグランジン産生を促進し、血管拡張や血管透過性亢進を引き起こす因子の一つです。
トラネキサム酸はこれらの経路を抑えることで、美容面でも効果が期待できる成分です。皮膚の赤み・ひりつき・熱感といった炎症症状の軽減に寄与すると考えられています。
また、慢性的な炎症はメラノサイトを刺激してメラニン生成を促進し、炎症を抑えることでシミや肝斑の悪化を防ぎます。このため、皮膚治療では赤ら顔や紅斑、紅潮など炎症を伴う皮膚症状に対して、医師の判断のもと補助的な治療として使用されることがあります。
参考文献:小關 知子 et al, 日本香粧品学会誌 Vol. 45, No. 1, pp. 16–20 (2021)
トラネキサム酸は風邪や喉の痛みにも効果がある?

トラネキサム酸は、風邪に伴う症状を和らげる目的でも使用される医薬品です。炎症反応を抑える作用があるため、風邪によって生じる扁桃炎や咽喉頭炎による喉の痛みや腫れ、声のかすれなどの症状の軽減に有効とされています。
このほかにも口内炎や口内粘膜アフタによる口の中の痛みや潰瘍※の緩和にも使用されます。
※潰瘍:皮膚や粘膜が炎症を起こして穴が開いたような状態になること
トラネキサム酸は、原因となるウイルスそのものを排除する薬ではありません。しかし、過剰な炎症を抑えることで不快な症状を和らげる働きが期待できます。
そのため、市販の風邪薬や喉の炎症を抑える薬に配合されているほか、症状の程度に応じて医療機関でも処方されることがあります。
トラネキサム酸の摂取方法|内服と外用について

トラネキサム酸は、「飲む」と「塗る」の2つの方法で用いられます。それぞれ作用の届き方や適した症状が異なるため、目的や肌状態に応じて使い分けることが重要です。
それぞれの違いと、適している人の特徴を紹介します。
広範囲に症状が出ている方は、内服(飲む)が適している
頬全体に広がる肝斑や、塗るケアだけでは改善しにくい再発を繰り返す肝斑には、内服によるトラネキサム酸が選択されることがあります。
内服は体の内側から作用するため、メラニン生成や炎症に関与する因子に対して、全身的にアプローチできるのが特徴です。ただし、長期服用における安全性は確立されておらず、血栓症のリスクも考慮する必要があるため、医師の判断のもと、慎重に使用することが重要です。
部分的な症状が気になる方は、塗るのが適している
肝斑が軽度であったり、部分的な肌の赤みやくすみ、シミが気になる場合には、トラネキサム酸配合の医薬部外品の美容液や化粧水、クリームなどのスキンケアが適しています。
塗るタイプは気になる部位に直接アプローチでき、全身への影響が少ない点がメリットです。ただし、内服のように全身への効果は期待できないため、広範囲で効果を期待したい場合には不向きです。
内服に比べ、効果の実感まで時間がかかることもありますが、日常的な紫外線対策や保湿ケアと併用しやすく、継続しやすい方法といえます。
トラネキサム酸の効果的な使い方

トラネキサム酸の効果を十分に引き出すためには、内服薬・スキンケアそれぞれの特性を理解して正しい方法で継続的に使用することが大切です。自己判断による使用は避け、目的に合った使い方を心がけましょう。
ここからはトラネキサム酸の内服薬とスキンケアの正しい使い方をそれぞれ解説します。
内服薬の正しい使い方
トラネキサム酸の内服薬は、医師の指示に従い、1日2〜3回に分けて用法・用量を守って服用することが重要です。効果を期待するあまり自己判断で量を増やしたり、長期間にわたり漫然と飲み続けたりすることは避けましょう。
また、すでに他の薬を服用している場合や、ピルなど血栓リスクに関わる薬を使用している場合は、必ず事前に医師へ伝えることが安全な使用につながります。
スキンケアの正しい使い方
トラネキサム酸を含むスキンケア製品には、化粧水・乳液・美容液など様々な種類があります。トラネキサム酸は厚生労働省が認めた「医薬部外品」に該当する有効成分です。
トラネキサム酸入りのスキンケアを選ぶ際はライフスタイルや肌質に合った使いやすいものを選び、毎日のケアとして無理なく継続することが大切です。
また、美白ケアの効果を維持するためには、紫外線対策を併用することが不可欠です。使用中にかゆみや赤みなど肌トラブルが生じた場合は、すぐに使用を中止し、医療機関を受診しましょう。
トラネキサム酸の副作用と注意点

トラネキサム酸は比較的安全性の高い医薬品ですが、副作用がまったくないわけではありません。使用にあたり、起こりやすい副作用や長期使用時の注意点、併用薬による影響を正しく理解しておくことが重要です。
ここからはトラネキサム酸の副作用と注意点を解説します。
よくある副作用
トラネキサム酸で比較的よく見られる副作用は以下のとおりです。
- 吐き気
- 下痢
- 食欲不振
- 眠気
- かゆみ
- 発疹など
吐き気や下痢、食欲不振などの消化器症状は服用初期に現れることがありますが、服薬を続けるうちに自然に落ち着くケースがほとんどです。
一方、発疹やかゆみはアレルギー反応として現れることがあるため、症状が続く場合や悪化する場合には、服用を中止し医療機関に相談しましょう。
長期使用による副作用
トラネキサム酸を長期間使用する場合、血栓症のリスクに注意が必要です。血栓症の既往歴のある患者、血栓ができやすい状態にある患者には慎重に投与する必要があります。
頻度は高くありませんが、ピルの使用、喫煙習慣、血栓症の既往歴がある方では、処方が見送られることがあります。そのため、美容目的で使用する場合でも、自己判断で継続せず、医師による定期的な効果・安全性の見直しを受けながら使用することが大切です。
トラネキサム酸と他の医薬品を一緒に使う場合の注意点
トラネキサム酸は、経口避妊薬(ピル)と併用すると血栓症のリスクが高まる可能性があります。また、抗血栓薬を服用している場合、薬理作用が拮抗し、双方の効果が十分に得られないことがあるため十分な注意が必要です。
さらに、他の止血剤と併用すると、止血作用が過剰になるおそれもあるため、原則として併用は避けるべきとされています。併用している薬や持病、妊婦・授乳中などの場合は、必ず事前に医師へ伝えましょう。
トラネキサム酸に関するよくある質問

ここからはトラネキサム酸の効果に関するよくある質問にお答えいたします。
トラネキサム酸は、メラニンの過剰な生成を抑えることで、スキンケアでは日焼けによるシミ・そばかすを防ぎます。内服では肝斑の改善を通じた美白効果が期待される成分です。美容目的でのスキンケアにおいては、メラニン生成を抑えることで明るい印象の肌を目指すケアとして用いられます。
経口避妊薬(ピル)や抗血栓薬を服用している方、血栓症の既往がある方、妊娠中・授乳中の方はトラネキサム酸の使用に注意が必要です。該当する場合は、自己判断で服用せず、必ず医師に相談したうえで使用の可否を確認しましょう。
トラネキサム酸には抗炎症作用があり、風邪などによる喉の痛みや腫れを和らげる目的で内服薬として医療機関でも使用されます。原因となるウイルスを治す薬ではありませんが、症状緩和に有効です。
まとめ|シミ・肝斑治療は医師と相談して進めよう

トラネキサム酸は、メラニン生成や炎症を抑える作用により、シミや肝斑の改善を目的として用いられる成分です。内服・外用のどちらも選択肢となりますが、効果や安全性には個人差があり、特に内服では副作用や併用薬への注意が必要です。
美容目的であっても自己判断での使用や長期継続は避け、肌状態や体調に応じて医師と相談しながら治療方針を見直すことが大切です。適切な使用と紫外線対策を併せて行うことで、より満足度の高いシミ・肝斑ケアにつながるでしょう。
※本オンラインクリニックで処方するのは公的医療保険が適用されない自由診療です。
※問診・診察の結果、医師の判断により処方できない場合があります。